●いい家とは?
冒頭から少し雑に投げかけた“いい家”のフレーズですが、実際にどんな家がいい家がなのかを説明しようとするとこれがなかなか難しい。
住まいというのは、≒価値観なので、十人十色の正解がある訳です。
デザインがいい家に住みたい!、性能にこだわりたい!、メンテフリーが最優先!etc…
特に最近はインスタグラムなどのSNSの浸透もあり、デザイン優位の選択が多くなっている印象もあります。
その一方でこんなデータも。

注文住宅を建築後、年数を経てどんなところに後悔があったかというアンケートのデータです。
1位の収納・間取りに関しては、ライフスタイルの変化に伴って家族にとっての最適の形が変わるのである程度仕方ない側面もあるかもしれません。
注目してもらいたいは2位の“寒い/暑い、風通しが悪い、暗い、結露”。
右肩上がりに、時間経過に伴って後悔の度合いが増しています。
(あと耐震性・高齢者対応も右肩上がりで後悔が大きくなるポイントになっています。)
つまり、将来にわたって後悔しない“いい家”にするためには、快適な温度(できれば耐震性・高齢者対応も)の対策を新築時にしっかり考えておく必要がある訳です。
逆にデザインや広さに関してはあまり時間を経ても後悔していないというのも少し面白いデータかな、と。
皆さんデザイン・広さは分かりやすい分、ちゃんと考えて建てるので後悔しないのか・・・ちょっと気になる所があっても、慣れてしまうと気にならなくなる・・・のでしょうか^^;
デザイン・広さへのこだわり・情熱の一部を温熱環境へ傾けるとバランスいいのかも(;^_^A
●全館空調システム“パッシブエアコン”
将来にわたって後悔の少ない家づくりとするために、温かい/涼しいの計画がとても大切という事で、ではどのようにその温熱環境を整えていくか?を考える訳です。
コアハウスでは、温熱環境を整えるためにOMソーラー㈱の“パッシブエアコン”という24時間全館空調システムを多く採用するようになりました。
詳細リンク:OMソーラー㈱ パッシブエアコン


ここからはパッシブエアコン採用のワケなど、少し紹介していきたいと思います。
●求められるのは“省エネ”で快適温度
温かい/涼しいという環境をただ数値として叶えるだけであれば、各部屋にエアコンなどの冷暖房器具をセットすれば解決するわけですが、実際には後悔に繋がっているのにはいくつか理由があると思っています。
その一つは“省エネ性”。
もう少しかみ砕いていえば、光熱費・ランニングコストです。
例えば、“床暖房”を採用したとあるお宅ではランニングコストの高さ故に来客時にスイッチを入れるだけで、住まい手さまの暮らしの温度には貢献しなかった、なんていう事もあるあるで聞く話です。
つまり省エネで光熱費を気にせずに使える空調設備でないと意味がないということ。
そしてパッシブエアコンのランニングコストはというと・・・

24時間空調は留守中の電気代がもったいないと思われがちですが、外出中は温度設定を緩めたキープ運転を行うため、On/Offを繰り返し始動時の負荷が大きい間欠運転よりも返って省エネにもつながる仕組みです。
菅前総理・岸田総理と、CO2の排出量の劇的な削減を宣言し、急速な脱炭素が住宅の分野でも進んでいくと予想もされます。省エネかつ快適な温熱環境という事は、今後さらに重要度を増していくことになるはずです。
●健康のための温度のバリアフリー性
ヒートショックという言葉もこれから冬本番を控え、目にする耳にする機会も増えてきます。
室内の温度差は、特に歳を重ねてから血圧の大きな変動に繋がり、それが脳梗塞や心筋梗塞などの事故の原因になってしまうということがわかってきました。
特に脱衣室-浴室の温度差や、夜間の寝室の布団の中-廊下・トイレの温度差は悲しい事故の温床で、そこの温度差をいかに解消できるかは、我々造り手に課された大きな宿題です。
また、夏に熱中症になった場所の第1位は実は「家の中」。夏の温度の調整もまたとても大切なこと。

そこでパッシブエアコンの役割は、24時間家全体の温度管理を司り、屋内の温度差を排除して、四季を通して健康的な温度を確保すること。
もちろん気候のいい中間期には、パッシブエアコンのスイッチを切り、窓をあけて風をとおして全然OK。それが出来るように風通しのいい設計と並立して計画します。
ちなみに、家全体を空調することは、寒くて/暑くて使わない部屋が無くなるという効果もあって、家自体はコンパクトに設計しても、返って広く使える家になってくれる、という事も隠れた(でも重要な)ポイントだったりします。
●理にかなった熱の通り道を考える
昨今、断熱性能を上げさえすれば、リビングのエアコン1台で1年中暖か/涼しいですよ。という魅力的なフレーズも住宅業界では、まま耳にします。
実際にそれである程度の成功しているお住まいもあるのですが、そこには大きな落とし穴もあって、成功率は100%ではないという事・温かさ/涼しさの質の問題=温度ムラがあげられます。
間取りや空調機器の位置や能力選定などでうまくいかないケースも出てきてしまうのが怖い所です。

温度を持った空気というのは、粘り気のような性質があるようで、リビングから幅75㎝程度のドアを通って廊下に出ていくというようなことにもかなり時間を要します。
その熱の動きをスムーズにするためには、温かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に降りるという性質や、空気の循環の経路をきちんと把握し整理することが大切。
パッシブエアコンでは、その熱の通り道の計画をシステムに落とし込んであるので、失敗の心配をせず、温度ムラや気流感の気持ち悪さを感じない温熱環境を整えることが可能です。
以上がパッシブエアコンを採用する大きな理由ですがいかがでしたでしょうか?
他にも、ルームエアコンのような室内機が不要でデザインがスッキリするとか、室外機が何台も屋外に並ぶことが無いので外部の美観を損ねないとか、小さないい所もあったりしますが、一番は“健康的な温熱環境を整えることができる事”です。
もちろんパッシブエアコン以外にも、温熱環境を整える建築的手法はありますので、全ての方にオススメするという訳ではありませんが、一つの選択肢としては優秀だとも思っていますので、
百聞は一見にしかず
ぜひ見学会やモデルハウスでその効果をお確かめ下さい。
どうぞお気軽にお問合せくださいね。
(記/チバダイスケ)