【別所砂留】森に現存する300年の砂防遺産
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2026 / 06 / 14 更新
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▲ 4番砂留 雄大な石積みはマチュピチュのよう
福山のマチュ・ピチュ・ハイキング!
春めいてきた3月終わり、コアハウスも事務所を構える芦田町の森の中で発見された土木遺産「別所砂留(べっしょすなどめ)」の見学会に参加してきました。

別所砂留とは
別所砂留は、地域に残る史料によると江戸時代 1760年頃にはすでに構築されていた石積みの砂防施設。戦後、土に埋もれて忘れ去られていた所を、2009年頃 この地の口伝を基に地元の方が発見発掘し、地域の民間有志の方が自ら手作業で整備してきたという逸話を持つ 知る人ぞ知る巨大土木遺産です。
何より、機械のない江戸時代にこれだけの雄大な構造物を建築されており、「福山のマチュ・ピチュ」との呼び名もあるほど。スケール感に圧倒され、歴史ロマンを感じとれます。
現在、36基がこの場所に連続して発見されており、江戸期の高い砂防技術と市民が自ら整備した地域活動を評価され、
・2015年11月 土木学会選奨 土木遺産として福山市で初めて認定
・2016年 市民普請大賞2016 グランプリ
・2024年 インフラメンテナンス大賞 国土交通省特別賞
など、数々の栄誉に輝いています。
●インフラメンテナンス大賞 国土交通省特別賞
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/03activity/pdf/08_18.pdf
別所砂留 見学会
別所砂留では毎年、気候のいい春に見学会を実施されています。
今回初めて参加させていただきましたが、地域の方がボランティアで駐車場に誘導してくださったり、親切な案内でお出迎えくださり安心して参加できます。
小規模ですが地元の農作物のマルシェの出店があったり、のどかで穏やかなイベントです。

受付を済ませて、みんなで入山します。
万が一の事故や遭難に備えて、下山確認もありました。
過去には参加者がなかなか下山されず、電話連絡や捜索を行ったこともあるとか。
迷惑をかけないようにそこは注意しましょう!

小1男児でも大丈夫でした!
事前に少し下見をしていたこともあり、小学一年生の息子も誘ってハイキング気分で一緒に参加!大人の参加者が多かったのですが、小さいお子さんもチラホラ。
足元が悪い山道を通りますので、未就学児のお子さんが全部自分で歩くのは少し大変かもしれませんが、小学生ならおそらくもう大丈夫かと。
息子は「つかれたよ~」といいながら、拾った棒と粘土で遊びながら踏破してました。

逆に少し心配なのはトイレ。
スタート地点と砂留の道中に仮設トイレは設置してありますが、できれば事前に済ませておいた方がいいかもしれません。
4番砂留

入口から4番目の砂留には立派なヤマザクラが。ちょうど満開で目を楽しませてくれました。
7番砂留

7番砂留では、岡山大学大学院 准教授 樋口輝久 先生の砂留の解説がありました。
砂留は、土砂が堆積すると都度かさ上げし、容量を大きくする改修を重ねて成長してきた歴史があるそうです。
先生が立っている場所は初期の堰堤の天端であったところで、その後に上部に2回の増築をした様子が見て取れる。さらにその後、先生の背後にもう1本の砂留を増設し、防災力を補完してきたのだそう。
10番砂留

江戸期の砂留の中で最も高い堰堤。その高さ17.85m。4階建てくらい。
福山藩の職人さん、凄腕です。かなり大きな石も使われていて、重機なしでどう持ってきて、どう施工したのか。。
堰堤の天端も緩やかなアーチ状で、壊れにくい理に適った形状。
幅も大水に合わせてジャストの設定をされているそうで、その技術の高さが垣間見える砂留。まさに土木遺産。福山のレガシー!
全行程2時間ほど
今回の見学会は9時頃に入山し、下山が11時頃でした。
天候にも恵まれ、ほどよいハイキングといった感覚です。
歴史的な建造物を眺めながらのいい運動で、なかなか満足度の高いハイキングでした。
砂留の役割
そもそも砂留とは何なのか?
江戸時代~戦前など、電気・ガスのない時代には、みんな薪を取って暮らしていました。
そしてエンジンもないので、車や農機具の代わりに家畜を飼い放牧などでエサを与える暮らしでした。
すると、山や森からは木や草が消え、はげ山になることも珍しくなかったようです。
江戸時代には 諸国山川掟 という、森林伐採や放牧を禁止する掟(オキテ)まで発布されるほど。
はげ山になると土砂災害が多くなり、また中四国特有の風雨にもろい花崗岩の土壌という事も相まって、物理的な土砂災害対策が必要だ!どうしよう?という処から、砂留が作られるようになったそうです。
砂留は沢の各所に設けられ、川底の勾配を緩和することで浸食を防止して、土石流の程度を抑制し、堆積した土砂の流出を阻止する機能を持ちます。別所砂留の場合、何か所もある砂留が下流に到達する土砂の80~90%程度を低減しているとのこと。
樋口先生によると、文献の内容から推察すると福山にはそういった砂留が1000基くらいあるかもしれないそうです。

別所砂留のこれから
各方面から評価が高い歴史的発見となった別所砂留は、2028年を目標に登録文化財を目指しています。
本来であれば、重要文化財の登録となり得る価値がある土木遺産ですが、重要文化財になると清掃活動など地域活動が自由にできないといった、現在の活動との齟齬が起きてしまうため、登録文化財への登録を目指しています。
別所砂留の問題
別所砂留が抱える最大の懸念は、その特徴的な地域活動に関わる方の高齢化です。
別所砂留を守る会の主要な方の年齢は70代以上となり、保守の地域活動の担い手を探さないといけない喫緊の課題があります。
コアハウスでは、昨年11月にスタートしたその地域活動を支えるお手伝いを何かできないだろうか?という検討会に参加しています。
今後、我々としても無理なく持続的に関われる形を模索中です。
森を守る、防災、地域・人とのつながり、豊かな時間、etc...
森品質、住まいづくりに通じる取り組みを見つけられればと思っています。


執筆者 /
代表 千葉大輔
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