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有限会社  コアハウス

50年住宅ローンは大丈夫? 

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2026 / 10 / 29 更新

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35年との返済額・残債比較から考える家づくりの予算

ここ数年、住宅の建築費がずいぶんと上がりました。

私たちも日々のご相談を通じて、数年前と同じ予算では、同じような住まいを建てることが難しくなってきたと感じています。

福山市では、2022年4月に、いわゆる「50戸連たん制度」が廃止されました。
市街化調整区域でも、一定の条件を満たせば住宅を建てられた制度です。

土地探しの現場にいると、郊外で比較的安価な土地を探すことも、以前ほど容易ではなくなったと感じます。土地の取得費用が増えれば、建物にかけられる予算にも影響します。

こうした状況のなかで、最近よく耳にするようになったのが、
40年、50年という長期間の住宅ローンです。

住宅金融支援機構の2026年1月調査では、調査対象となった住宅ローン利用者のうち、返済期間が35年を超える方は23.4%。およそ4人に1人という数字です。

住宅価格が上がっている今、返済期間を延ばして月々の負担を抑えることも、現実的な選択肢になっているのでしょう。

ただ最近、家づくりのアドバイスをする立場として、少し気になっていることがあります。

“返済期間を長くすることが、月々の負担を軽くするためではなく、借入額そのものを増やすための手段になっていないだろうか?”

そんな違和感を感じる瞬間がチラホラと出てきました。


50年ローンが悪い、という話ではありません

ちなみに、50年ローンそのものが悪いとは思っていません。

同じ金額を借りるのであれば、35年より50年で返済する方が、毎月の支払いは少なくなります。

子育てにお金がかかる時期に、月々の負担を抑えて、その分を貯蓄や投資、日々の暮らしに回す。そういう考え方もあります。

一方で、返済期間が長くなれば元金の減り方は緩やかになり、同じ金利でも利息の総額は増えます。

広島銀行など、福山・備後で身近な金融機関でも、最長50年の住宅ローンが取り扱われています。

なお、金融機関や商品によっては、35年を超える借入について金利が上乗せされる場合もありますので、実際に利用する際には確認が必要です。

今回は返済期間による違いを分かりやすくするため、35年も50年も同じ年1.0%の金利で比較してみます。

同じ3,500万円を借りた場合

【図表①:借入額を同じにした比較】

比較項目

35年ローン

50年ローン

借入額

3,500万円

3,500万円

想定金利

年1.0%

年1.0%

月々の返済額

約9.9万円

約7.4万円

総返済額

約4,150万円

約4,449万円

20年後の借入残高

約1,651万円

約2,305万円

30年後の借入残高

約578万円

約1,612万円

※元利均等返済、ボーナス返済なし、全期間金利一定と仮定した概算です。
金利は比較のための仮定であり、実際の適用金利ではありません。
諸費用等は含みません。

月々の返済額は約2万5,000円、年間では約30万円少なくなります。

この違いは、家計にとって決して小さくありません。

ただ、20年後の住宅ローン残高を見ると、50年ローンの方が約654万円多く残っています。30年後には、その差が約1,034万円になります。

総返済額も約299万円増えます。

月々の負担を軽くできることと、その先に残る借入金の大きさ。どちらも知ったうえで選びたいところです。


月々の返済額が同じなら、もっと借りても大丈夫?

私がもうひとつ、そして一番違和感を覚えるところが、こちらです。

住宅ローンの返済期間を延ばすと、月々の返済額を変えずに、借入額を増やすこともできます。

先ほどの35年ローンと同じ、月々約9万9,000円の返済になるように50年ローンの借入額を逆算すると、約4,663万円になります。

【図表②:月々の返済額を同じにした比較】

比較項目

35年ローン

50年ローン

借入額

3,500万円

約4,663万円

想定金利

年1.0%

年1.0%

月々の返済額

約9.9万円

約9.9万円

総返済額

約4,150万円

約5,928万円

20年後の借入残高

約1,651万円

約3,072万円

30年後の借入残高

約578万円

約2,148万円

※元利均等返済、ボーナス返済なし、全期間金利一定と仮定した概算です。
50年ローンの借入額は返済額から逆算した計算上の数字であり、実際の融資可能額ではありません。
諸費用等は含みません。

【図表③:月々の返済額を同じにした場合の借入残高の推移】

月々の支払いは、ほぼ同じです。

でも、借入額は約1,163万円増え、総返済額では約1,778万円の差が生まれます。

20年後の借入残高は約1,421万円、30年後には約1,570万円の差になります。

家づくりの資金計画では、月々の返済額がひとつの目安になります。

「毎月これくらいなら払えそう」

というところから考えると、返済期間を延ばすことで、住宅にかけられる予算も増えたように感じるかもしれません。

今は住宅価格そのものが上がっていますから、以前と同じような家を建てるためにも、借入額を増やさざるを得ない場合があります。

希望を膨らませたわけではなく、これまでと同じような住まいを求めても、必要な予算が大きくなっている。そこが今の家づくりの難しいところです。

一方で、もう少し広い家にしたい、設備を少し良いものにしたい、せっかく建てるのだから希望をできるだけ叶えたい、という気持ちもあるはずです。

私自身、設計をする立場ですから、そうした希望や憧れ・こだわりは大切にしたいと考えています。

ただ、借りられる金額と、家にかけてよい金額は、必ずしも同じではありません。


20年後、30年後の住宅ローン残高

月々の返済額は比較的イメージしやすいのですが、20年後、30年後の借入残高となると、なかなか実感が湧きにくいものです。

例えば、30歳で50年ローンを組むと、計算上の完済年齢は80歳になります。

仮に50年間返済を続けるとすれば、50歳になっても、まだ30年間の返済期間が残っています。

先ほどの比較表にある30年後の借入残高は、30歳で借りた方にとっては60歳時点の借入金です。

その頃には、お子さんが独立していたり、働き方が変わっていたり、今とは違う暮らしになっているかもしれません。

もちろん、途中で繰上返済をして、早めに完済するという方法もあります。
ただ、繰上返済は、その時々の家計に余裕があってできることです。

退職金を返済に充てる考え方もありますが、
退職金はその後の生活を支える大切なお金でもあります。

また、変動金利を選んでいれば、将来の金利上昇も考えておかなければなりません。

月々の返済額だけでなく、
自分たちが50歳、60歳になったときに、どのくらいの住宅ローンが残っているのか。

家づくりの資金計画では、そんな数字も一度確かめておきたいと思います。


理想の家と、住み始めてからの暮らし

家づくりのご相談では、いろいろなお話を伺います。

明るく開放的なリビングがほしい。

家族が自然に集まる場所をつくりたい。

好きな家具を置いて、ゆっくり過ごしたい。

そうしたお話を伺いながら、どんな家にしたら気持ちよく暮らせるだろう、と一緒に考える時間は、私にとっても楽しいものです。

ただ一方で、家が完成したあとも、暮らしは続いていきます。

子どもの成長に合わせて必要になるお金もあれば、家族で旅行に出かけたり、趣味を楽しんだりする時間もあります。

そして、いずれは仕事を離れたあとの暮らしもやってきます。

住まいは、そうした毎日の暮らしを支えるためのものです。

家を建てるときに希望をたくさん叶えられたとしても、その後の生活に余裕がなくなってしまうのは、少し違うように思います。

かといって、将来が心配だからと、住まいへの希望を何もかも諦めるのも寂しい話です。

理想の家をつくることと、その家で理想の暮らしを続けていくこと。

どちらも大切にしたいと思っています。


家づくりの適正な予算は、誰が決めるのでしょう…

私は、住宅会社が一方的に提示して承諾してもらうものではないと思っています。

私たちにも、住まいの性能や素材、設計について大切にしている考え方があります。ただ、それをすべて実現するために、お客様に予算を合わせていただくのではなく、お客様の無理のない予算を一緒に考えた上で、どのような住まいが実現できるかをともに考えたいと思っています。

もちろん、どんな予算でも希望をすべて叶えられるわけではありません。

だからこそ、何を大切にして、どこを工夫するのか。設計や仕様を調整しながら、そのご家族にとって無理のない着地点を探していく。

例えば、広いリビングがほしいという希望があっても、単純に床面積を増やすことだけが答えではありません。

窓の配置や天井の高さ、家具の置き方によって、同じ面積でも空間の感じ方は変わります。

部屋の面積を増やす代わりに、ひとつの場所にいくつかの役割を重ねて持たせることで、面積を抑えながら暮らしの質を保つことができます。

あるいは、子どもが小さいうちは広く使い、成長に合わせて間仕切りを設けるなど、将来の暮らし方の変化を見越して可変性を持たせておくという作戦もあります。

希望を諦めるのではなく、別の方法で実現できないかを考えることも、設計の大切な役割だと思います。

将来の家計や借入条件については、金融機関やファイナンシャルプランナーなど、専門家の力を借りた方がよいこともあります。

最終的に予算を決めるのは、お客様ご自身です。

家づくりの予算を考えるとき、建てたい家のことだけでなく、そこでどんな暮らしを続けていきたいのかも、一緒に考えておきたいものです。

家を建てることがゴールではなく、そこから始まる暮らしのための住まいなのですから。


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参考情報


執筆者 /

千葉大輔 | 代表・一級建築士

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