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有限会社  コアハウス

風の通り道を設計する|窓の数や形・位置に意味があるという話

2022 / 07 / 19 更新

暑い季節になると、日中は窓を閉めて冷房を使う時間が増えてきます。
近年の夏は暑さが厳しいので、無理に窓を開けて過ごす必要はありません。

ただ、春や秋の中間期、夏の朝晩など、少し涼しい時間に家の中をすっと風が通ると、

「あ、気持ちいいな」

と感じる瞬間があります。

今日は、そんな風通しのいい家をつくるために大切な、窓の数や形、位置についてのお話です。


窓を開けても換気できない事があるって知ってますか?

みなさん、窓を開けるときに、どんなことに気を付けていますか?

網戸をきちんと閉める。
虫が入らないようにする。
雨が吹き込まないようにする。

もちろん、それも欠かせません。

それとあわせて、もうひとつ知っておいてほしいことがあります。

窓は1か所だけ開けても換気は進まない
(引用:YKK AP 窓がポイント! 住まいのじょうずな換気方法 より)

意外と知らない方も多いのですが、窓は1か所だけ開けても、うまく風が流れにくいことがあります。

風通しには、風の「入口」と「出口」が必要です。

2か所の窓を開けることが大切。

しかも、ただ2か所を開ければよい、というわけでもありません。

できるだけ空間の対角線上にある窓を開けると、空気は流れやすくなります。

窓メーカーのYKK APさんが分かりやすく解説しているページがありますので、参考にリンクしておきます。

→窓がポイント! 住まいのじょうずな換気方法

実はこれ、暮らしてからだけでなく、家づくりの設計段階でも意識してほしいポイントです。


風の通り道は家全体で考える

さすがに、真夏の日中に外の熱い空気をどんどん取り込むのはおすすめしません。

その時間帯は、無理せずエアコンに頼っていいと思います。

でも、春や秋、夏の朝晩に、涼しい風が家の中をそよぐのは、

「いい家だなぁ」

と感じられる瞬間になるはずです。

では、そんな風を感じられる家にするためにはどうするか。

先ほどの、風の入口と出口をつくる考え方を、設計に落とし込んでいきます。

ただし、風はいつも同じ方向から吹いてくれるわけではありません。

季節によっても、時間帯によっても、敷地のまわりの建物や植栽によっても、風の入り方は変わります。

そこで、いろんな方向の風を受けられるように、窓の位置をバランスよく考えていきます。

たとえばLDKを計画するとき。

南面にしか窓がないと、空気が抜けにくい空間になることがあります。

LDKは、人が集まり、長く過ごす場所です。

調理、食事、団らん、趣味、宿題。

空気のよどみが生まれやすい場所でもあります。

なので、通風を考えるなら、LDKにも風の入口と出口をつくっておきたいところです。

できれば、東西南北のいろんな方向から風を受けられると理想的です。

・・

・・・

・・・・?

気づかれましたか?

LDKの東西南北、全部に窓って無理じゃないの?

ということに。

その通りです。

LDK単体のひと部屋だけで考えると、東西南北すべてに外気に面する窓を計画することは、ほぼ不可能です。

だからこそ、風通しは家全体で考えることが大切になります。


窓の数や位置・形には意味がある

LDKの上手な風の通り道計画の一例

一例で言えば、玄関や水まわりといった機能部にも窓を設けておくと、必要に応じて風の入口や出口にできます。

吹抜けや高窓を設けておくと、上下のつながりや高低差を活かした風の通り道を計画することもできます。

特に、建物の上の方にある高窓は、夏に天井まわりへ溜まりやすい熱気を外へ逃がすのに有効です。

まず窓を開けて、こもった熱を逃がす。

そのあとに冷房を入れる。

そういう使い方ができると、エアコンの効きもよくなり、光熱費の節約にもつながります。

風の入口と出口を考え、家全体に空気が流れるように窓の位置を検討します

それから、よく見かけるのが、寝室や子ども部屋の窓がひとつだけの個室です。

プライバシーや防犯の理由で、窓を大きく取りにくい場合もあると思います。

ただ、窓が1か所だけだと、風は通りにくくなります。

熱気がこもると、寝苦しい夜も増えてしまいます。

夏でも、夜間であれば風通しだけで快適に感じられる日があります。

そういうときに、しっかり熱を逃がしてくれる窓があると、暮らしてからありがたく感じるはずです。

どうしても窓が1か所しか取れない部屋では、「ウインドキャッチ連窓」という形状も選択肢になります。

同じ窓でも、開き方や形によって、風のつかまえ方は変わります。
だから、窓は数だけではなく、位置と形にこそ意味があります。

平屋や一階中心の住まいでは、窓の位置や風の抜け方がより大切になります。
平屋・半平屋の考え方については、こちらの記事でも整理しています。
平屋・半平屋の考え方 →


風の通り道を設計して、省エネに過ごす

コアハウスでは、20年来取り組んできたパッシブデザインの考え方をもとに、風通しの設計をできるだけ丁寧に落とし込むようにしています。

その考え方を20年使い続けてきた家が、実際にあります。
→「福山市の木の家モデルハウス|築20年超のMORI SPACE見学」

必要に応じて、通風のシミュレーション解析も行っています。

風通しのシミュレーション
自然の風も上手に取り込める家になるように

もちろん、今の住まいでは計画的な換気や空調設備も欠かせません。

ただ、それだけに頼るのではなく、窓の位置や形によって、自然の風を上手に取り込める家にしておく。

そこに、設計でできる工夫があります。

快適に暮らしていただけるように。

住んでから後悔がないように。

窓の数や位置、形をしっかり検討してご提案しています。

風通しのよさは、コアハウスの木の家に共通する特徴のひとつになってくれています。

通風を上手に計画できると、エアコン冷房が必要になる期間を少しでも短くできます。

我慢する省エネではなく、気持ちよく過ごしながら、結果としてエネルギーを使いすぎない住まい。

そういう家が、私たちはいいと思っています。


トイレ・浴室に窓が必要なのか問題

最近、SNSやネットで、

「機械換気や機械空調があるから、トイレや浴室に窓は別にいらない」

という話を見かけることがあります。

いろんな家づくりの考え方があります。

窓をなくすことで、断熱性や掃除のしやすさ、外からの視線、防犯面などを優先する考え方もあります。

それも、その方の暮らしに合っていれば、ひとつの正解だと思います。

ただ個人的には、

まず、機械に頼らなくてもある程度機能する、自立的な住まいを設計する。

そのうえで、より快適性を高めたり、弱点を補ったりするために機械も使う。

という考え方を大切にしています。

トイレや浴室にも窓を配置する理由は、そういった考え方によるものです。

その窓は、必要に応じてトイレや浴室以外の通風にも働きます。

光を入れる役割もあります。

空間の明るさや、閉塞感の少なさにも関わります。

つまり、その役割はひとつだけではありません。

なので、実は設計している窓に、意味のない窓はひとつもありません。

スムーズな通風計画はもちろん、採光、借景、外観のバランス。

いろんな意味や役割が、窓には込められています。

そういう細かすぎて伝わりにくい工夫が、

「なんか住みやすそう」

という感覚を生んでくれるのだと思います。

そして住み始めてから、

「あ、こんな工夫があったんだ」

と気づいてもらえると、やっぱり嬉しいなと思います。


いい風を感じる暮らしを

窓で考える換気や通風の計画には、実は、いろんな工夫とテクニックが詰まっています。

なんとなく、ポイントを感じていただけたでしょうか。

風通しのいい家は、ただ窓が多い家ではありません。

どこから風を入れて、どこへ抜くか。

季節ごとにどう使うか。

日射や断熱、空調とのバランスをどう考えるか。

そして、その家でどんなふうに過ごしたいか。

そこまで考えて、窓の数や形、位置を決めていきます。

福山市・備後エリアで注文住宅を考えるときも、風通しや窓の計画は、暮らしやすさに大きく関わります。

春や秋に窓を開けて過ごしたい。

夏の朝晩に涼しい風を取り込みたい。

家の中の空気がこもらないようにしたい。

木の家で、自然の光や風を感じながら暮らしたい。

そういう方は、間取りや性能値だけでなく、窓の意味にも少し目を向けてみていただけるとよいのかなと思います。

無理せず快適で、省エネな暮らし。

それは、毎日の心地よさにも、環境への負荷を少し抑える暮らしにもつながっているはずです。

風の通り道や窓の位置は、間取りだけでなく、敷地の読み方や暮らし方とも関係しています。
実際の住まいで、光や風、居場所のつくり方がどのように表れているかは、施工事例でもご覧いただけます。
→施工事例を見る


執筆者 /

千葉大輔 / (有)コアハウス代表・一級建築士

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