木造ドミノ住宅とは?|強い骨格と、暮らしに合わせて変えられる空間
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2026 / 07 / 15 更新
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強い骨格が、暮らしの自由をつくる。
木造ドミノ住宅とは、建物を長く支える骨格と、間取り・家具・設備など、暮らしに合わせて整えられる部分を分けて考える木造住宅の仕組みです。
コアハウスでは、福山・備後の気候や材料、地域の職人の仕事に合わせながら、この家づくりを続けてきました。
この記事では、木造ドミノ住宅の構造、間取りの自由、耐震性、将来の変更に備える考え方について、実際につくり続けてきた工務店の立場からお伝えします。
家族は変わる。家は、変えられるか。
家を建てるとき、多くの方は、今の家族に合う間取りを考えます。
子どもの成長、日々の家事、仕事の仕方、しまいたいもの。今の暮らしを丁寧に整理することは、住まいづくりの大切な出発点です。
けれど、家族の形は、建てたときのままではありません。
子どもは成長し、やがて家を離れます。家で仕事をするようになることもあれば、夫婦二人の暮らしになり、将来は1階を中心に生活したくなることもあります。
暮らしは変わっていくのに、家の間取りは、完成したときの形に固定されやすいものです。大きく変えようとすると、構造上必要な柱や壁が支障となり、工事の範囲や費用が増えることもあります。
今の暮らしに合うことと、将来の選択肢を広げて残すこと。
その両方を考えるために、コアハウスが取り組んできたのが木造ドミノ住宅です。
実際にコアハウスでは、建築後に、吹抜けだった空間を子ども部屋へ変えた住まいがあります。そうした変更・更新を受け止めやすくするのが、木造ドミノ住宅の骨格です。
木造ドミノ住宅とは
多くの木造住宅では、間取りと、それを支える柱や壁の配置が密接に結びついています。
木造ドミノ住宅では、建物を支える部分と、暮らしに合わせて整える部分の役割を分けて考えます。
まず、シンプルな箱型を基本に、建物を長く支える強い骨格を整える。その骨格の中で、間取りや家具、設備を暮らしに合わせて考えていきます。
建物を支える骨格を「スケルトン」、間取りや家具、設備、内装などを「インフィル」と呼びます。この仕組みでは、スケルトンとインフィルを分けて計画します。
外周部の耐力壁、柱、梁、床、接合部、基礎を一体として骨格をつくり、内部では、将来取り外せない主要な構造体を、大黒柱1本または2本を中心に整理します。
誤解無く伝えると、大黒柱だけで建物を支えているわけではありません。
建物全体で地震や風の力を受け止めながら、内部の間仕切りが構造を担いすぎないように計画します。
一般的な木造住宅でも、すべての間仕切り壁が構造を担っているわけではありません。木造ドミノ住宅以外でも、将来の変更に配慮した構造計画は可能です。
但し、建物にかかる外力による力の流れをきちんと設計するのは難易度が高いので、設計ルールによって内部の間仕切りを構造から切り離した仕組みが木造ドミノ住宅です。
木造ドミノ住宅の特徴は、最初から「長く使う骨格」と「暮らしに合わせて整える内部」の役割を、意識して分けておくことにあります。
内部を細かく仕切らず、広くつながった空間として使う。
必要な時期が来てから壁を設ける。
壁ではなく、収納家具や造作家具で居場所を分ける。
暮らし方が変わったら壁の位置を変える。
時間が経ち、陳腐化した設備は配置も含めて更新する。
建てたときの間取りだけに暮らしを固定せず、将来の選択肢を残すための仕組みです。

※概念図です。実際の柱、梁、壁などの配置は、建物の規模や設計条件によって異なります。
強さを、形と計算で確かめる
内部に壁が少なく、大きくつながった空間と聞くと、地震に対する強さを心配される方もいるかもしれません。
木造ドミノ住宅では、建物全体をできるだけ明快な形に整え、地震や風の力がどのように伝わるかを考えます。
柱、梁、耐力壁、床、接合部、基礎を一体として検討し、一棟ごとに必要な強さを構造計算によって確かめます。
コアハウスの新築住宅では、一棟ごとに許容応力度計算を行い、基礎を含む耐震等級3を基本としています。
ただ、木造ドミノ住宅という工法というだけで、自動的に耐震等級3になるわけではありません。敷地や間取り、建物の大きさに合わせて、一棟ずつ計算しています。

内部を柔軟に使える一方で、その自由を強い骨格で支えるため、建物全体の形には守るべきルールがあります。
例えば、2階床の大部分を吹抜けにしたり、建物を複雑に折り曲げたりする場合は、構造の成り立ちを慎重に考えます。
建物に張り出しや凹凸が必要な場合は、シンプルな箱型の架構を二つ組み合わせ、構造的に明快なまとまりとして計画することもあります。
木造ドミノ住宅の構造上のルールは、設計を窮屈にするためのものではありません。
強さを保ちながら、内部を長く自由に使うためのルールです。
暮らしに合わせて、空間を整え直せる
木造ドミノ住宅の可変性は、将来のために部屋を多くつくっておくことではありません。
最初から用途を決めすぎず、必要になったときに整える余地を残す考え方です。
コアハウスが2010年、福山市駅家町万能倉に完成させた木造ドミノ住宅のモデルハウスにも、その実例があります。

この建物は、モデルハウスとして使われたあと、実際の住まいとして引き継がれ、現在も住まいとして使われています。
当初は、上下階がつながる吹抜けのある間取りでした。その後、ご家族の成長に合わせて吹抜け部分に床を設け、子ども部屋として使えるように変更しました。
最初からすべての個室を完成させておくのではなく、家族にとって必要になった時期に空間を加える。
当初の木造ドミノの骨格を生かしながら、吹抜けだった空間の使い方を整え直した実例です。
この例は子ども部屋を増やしたものですが、同じ考え方は、子どもの独立後、在宅ワーク、夫婦二人の暮らし、将来の1階中心の生活を考える際にもつながります。
もちろん、木造ドミノ住宅であれば、どのような変更でも自由にできるわけではありません。階段、水回り、設備配管、窓、構造、法規などは、建物ごとに確認します。
それでも、最初から骨格と内部を分けて計画しておくことで、将来の選択肢を残しやすくなります。
可変性とは、必ず家を変えることではありません。
変える必要が生じたときに、考えられる余地を残しておくことです。
長く住むために、温熱と素材も整える
骨格を長く使うためには、住み続けたいと思える快適さと、手入れを続けられる素材が必要です。
コアハウスでは、木造ドミノ住宅を福山でつくり続ける中で、地域の気候に合わせた断熱、日射の取り入れ方と遮り方、換気など、熱と空気の設計も深めてきました。
また、杉や桧などの木をはじめ、時間がたっても手入れや補修を続けやすく、長く使える素材を選ぶことを大切にしています。
骨格、温熱、素材を別々に考えず、長く住み続けられる一つの家として整えていきます。
コアハウスが、木造ドミノを選び続ける理由
コアハウスは、自分たちが良いと考える家づくりのために、木の家や構造、温熱を学ぶ中で木造ドミノ住宅に出会い、2007年に木造ドミノ研究会へ加盟しました。
木造ドミノ住宅は、コアハウスだけがつくる家ではありません。全国の地域工務店が、基本となる骨格の考え方を共有しながら、それぞれの地域でつくってきた住宅です。
基本の考え方は共通していても、使う木、気候への向き合い方、温熱設計、職人の技術によって、完成する家は異なります。
コアハウスも、東京で生まれた仕組みを、福山へ持ち帰り、そのまま建てている訳ではありません。
そして、取り組みを始めた当時の仕様を、そのまま変えずに使い続けているわけでもありません。
中国・四国地方の木、福山・備後の気候、地域の大工の技術、家具や設えの考え方を重ねながら、自分たちの木造ドミノ住宅を育ててきました。
骨格の考え方を受け継ぎながら、構造計算、断熱、設備、温熱設計は、現在の技術や暮らしに合わせて更新してきました。
それでも、変えていないものがあります。
強い骨格をつくること。
その中に、暮らしが変わる余地を残しておくこと。
構造や温熱、素材、家具を、別々のものとして考えないこと。
木造ドミノは、コアハウスにとって、単なる商品名というより、家をどのように考えるかを示す仕組みに近いものです。
建てたときだけでなく、その先に続く暮らしまで考えるために、私たちは今も木造ドミノ住宅を造り続けています。
木造ドミノから生まれた住まいを見る
同じ骨格の考え方を持つ木造ドミノ住宅でも、敷地や家族、暮らし方によって、完成する家は一棟ずつ異なります。
コアハウスが福山・備後でつくってきた木造ドミノ住宅をご覧いただけます。
20年を重ねた木の家を体感する
2004年に完成したMORI SPACEでは、木の色艶、杉床の手触り、光と風、長く使われてきた木の家の空気を体感できます。
( FAQ )

執筆者 /
千葉大輔 / (有)コアハウス代表・一級建築士
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