【第3回】森と暮らす家 ~私たちの選び方~ 家族の時間は、キッチンで育っていく
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2026 / 06 / 22 更新
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こんにちは。手島です。
森の住まいで紡がれる、家族それぞれの居心地のよい過ごし方をお届けした前回の記事。窓辺のヌックやリビング階段での楽しい時間が、Iさん一家の日常にたくさんの笑顔をもたらしていました。
▼前回の記事はこちら [第2回記事へのリンク:この家ならではの暮らし]
連載の第3回・第4回では、Iさん一家のライフスタイルの核でもある「食」にスポットを当てていきます。今回は、福山市のフリーペーパー キタマチDiary vol.48 にも掲載された、Iさん邸のシンボルとも言える「台所」を中心とした豊かな暮らしの風景をお届けします。
「自然や季節に沿って暮らしたい」家族を想う手仕事の台所

Iさん邸のドアを開けて、まずパッと目を引くのがキッチン周りの佇まいです。私たちが手がけた木の造作キッチンの最上段にあるオープン棚には、色とりどりの自家製の保存瓶がずらりと並び、まるでお店のような空間が広がっています。

瓶の中身は、カリンシロップやレモンシロップ、ゆずの種やドクダミの花から作った特製の化粧水など実に様々。さらには1〜2年かけてじっくり育てる自家製のお醤油や、柿の実から仕込んだ柿酢まで並んでいます。そのどれもが、Iさん夫妻が季節ごとに丁寧に仕込んできた手仕事の結晶です。

「『自然や季節に沿ったものを摂りながら暮らしていきたい』という想いが根底にあって、できるだけ薬に頼らず、自然のもので身体を労わりたいんです。子どもや夫が風邪気味だったら『カリンジュース飲む?』って出したり、夏場には梅ジュースを作ったり。私にとってこの棚は、『薬箱』みたいなもの。『これだけあれば1年大丈夫!』と思える、暮らしのお守りみたいな感覚ですね(笑)」(奥様)

▲ Iさんが毎年手作りされる紫蘇ジュース
結婚前からお味噌を手作りし、梅仕事などを続けてきたという奥様。こうした手仕事に取り組む時間そのものが、何よりの喜びであり充実感なのだと言います。

「黙々と作業していると、時間の使い方がすごく贅沢で豊かだなと感じるんです。便利なものは世の中にたくさんあるけれど、手作りすることや、みんなで何かをやることで『生きている実感』を子どもたちにも感じてほしくて。押し付けになっちゃうかもしれませんけど…。お母ちゃんこんなことしてたなって、記憶に残ってくれたら嬉しいですね」(奥様)
手を入れることの温かさや、自然の恵みを無駄なく使い切る昔ながらの知恵。Iさん邸の台所には、家族の健康を想う優しさと、豊かな時間がぎゅっと詰まっていました。
わが家だけの造作キッチン。横並びで楽しむにぎやかな時間

「前の家はキッチンがちょっと狭すぎたんです」と振り返るご夫妻。以前の賃貸暮らしでは、子どもたちが「お手伝いしたい!」と言ってくれても、スペースにゆとりがないために「片付けないと、無理無理!」とつい声を荒らげてしまい、もどかしい思いをされていたそうです。
そんなお悩みを劇的に変えたのが、お住まいの雰囲気や木の柱・床とも見事に調和する、オリジナルの造作キッチン(わざわざキッチン)でした。

「見た目がすっきりしていて、とても気に入っています。なるべく木で完結している状態のデザインが好きですし、何より木の手触りがすごくいいんです。キッチンが広くなったことで、狭さからくるイライラが一切なくなって、今はみんなでストレスなく楽しくキッチンに立てています」(奥様)

特に奥様が感動されたのが、すっきりとした見た目を損なわないデザインの工夫でした。大型の海外製食洗機(ボッシュ)を導入する際、フロントパネル(蓋)のところまで周りの家具と同じ木で仕上げて一体感を持たせています。

「食洗機の蓋のところまで木にしてくださっていて、初めて見たときは本当にびっくりして、嬉しい大感動でした!『え、嬉しい!これ何だっけ?あ、食洗機だ!』みたいな(笑)。既製品のような多種多様な引き出しのパターンはありませんが、全く不満はありません。むしろ、引き出しを開けるときに適度な重みがあるのが、小さな子どもが勝手に開けてイタズラするのを防いでくれるので、わが家にとっては好都合でした」(奥様)
今では平日・休日を問わず、大人がキッチンに立つと、子どもたちが自然と集まってくるのが日常の風景。上の子はお手伝いも手慣れたもので、小さな踏み台に乗って、目を離していても勝手に包丁でトントンと食材を切ってくれるのだそう。

「今は2人ともどうしても同じことがしたい!ってなっちゃって(笑)。下の子はまだ身長が足りないので、自分がご飯のときに使っている、ちょっと大きめの重たい椅子を一生懸命じぶんで引きずって持ってきて、踏み台にして並んでいます。並んで作業できるのがとにかく楽しいみたいですね」(奥様)

▲兄弟で仲良く並んでお手伝いをするのが日常。子どもたちもどんどん料理の腕があがっているのだとか。
お気に入りの木の質感に包まれながら、親子が横並びになってにぎやかに料理を創り出す。そんな愛おしい時間が、このわが家だけの造作キッチンから毎日のように生まれています。
灯りを囲み、家族が穏やかになる食卓

にぎやかな料理の時間が終わると、家族が集まるのは丸いダイニングテーブルです。 以前の床に座る暮らしから、椅子に座るスタイルへと大きく変えたことで、お子さんたちの食事の時間にも嬉しい変化がありました。

「きちんと食卓に座るようになってから、子どもたちも落ち着いて食事をするようになりましたね。やっぱり丸いテーブルってすごいいいなと思います。夜、少し暖色系の優しい灯りを家族みんなで囲んでいると、なんだかすごくほっとするんです。夜が更けるにつれて、お部屋の雰囲気もまた違った感じに見えてきて、いつも癒やされています」(奥様)
また、このダイニングは夜だけでなく、日中の心地よさも格別です。南側に面した大きな窓からは、お日様の光がたっぷりと差し込みます。

「日中は、障子を開けたらものすごく温かくて!陽がよく入ってくるので、家の中でも干し野菜ができるんじゃないかと思うくらいです(笑)。お昼はほとんど電気を消して、陽の光だけで明るく、暖かく過ごせています」(奥様)
単にお腹を満たすためだけでなく、お日様の温もりを感じ、夜は優しい灯りの下で今日あったことを語り合う。Iさん邸の食卓は、家族みんなが穏やかな気持ちに還っていくための、大切な場所になっていました。
・つづく・
次回(第4回)は、この素敵な台所からさらに一歩外へつながる物語。ご家族みんなで泥だらけになって楽しまれている「畑のある暮らし」や、里山ならではのダイナミックな自然の恵みについてご紹介します。どうぞお楽しみに!
<この住まいの施工事例>
<「森と暮らす家」ブログシリーズ初回はこちら>
【第1回】森と暮らす家 ~私たちの選び方~ 薪ストーブと森の住まい(前編)

執筆者 /
テシマ
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