福山・備後へ移住やUターンを考える前に
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2026 / 06 / 18 更新
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地元に戻って、どんな家で暮らすか。
「移住」という言葉には、少し特別な響きがあります。
自然に囲まれて暮らす。
都会を離れて、ゆっくり過ごす。
子どもがのびのびと育つ場所を選ぶ。
そんな前向きなイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、それも一つの暮らし方だと思います。
ただ、福山・備後エリアで家づくりをお手伝いしていると、実際にはもっと生活に近いところから、住む場所を見直される方が多いように感じます。
親の近くへ戻る。
子育てや仕事の都合を考えて、実家の近くで暮らす。
将来の介護や、退職後の暮らしを考え始める。
実家の土地や祖父母の家をどうするか、という話が持ち上がる。
「移住したい」というより、住む場所を見直す時期が来た。
そんな家づくりもあります。
戻りたいから戻るのではなく、戻る理由ができた。
新しい暮らしに飛び込むというより、家族や仕事、親との関わり方をもう一度測り直す。
移住やUターンは、そんなふうに始まることも少なくありません。
自然の近くへ移る。
けれど、憧れだけでは決めていない
神石高原町へ移られたあるご家族のことを、少し書かせてください。
リモートワークを前提にしながら、森や川、土のある環境で子育てをしたいという思いがありました。
家のイメージは、便利なだけの家ではなく、森の中に溶け込むような家。
庭に木を植える。
畑をつくる。
子どもたちが外で遊ぶ。
季節が移り変わることを、家の内側からも外側からも感じる。
家の中だけで完結するのではなく、敷地や庭、周辺の自然まで含めて、家族の時間をつくっていくような住まいでした。

こう書くと、いわゆる「地方移住」らしい話に見えるかもしれません。
ただ、実際には「田舎暮らしに憧れて」という一言では片づきません。
仕事の仕方が変わったこと。
都市部でこのまま子育てを続けることへの迷い。
子どもが土や水や木に触れる時間を、日常の中に取り戻したかったこと。
いくつもの理由が重なって、今の場所にたどり着かれたのだと思います。
暮らし始めてしばらく経った頃、奥様がこんなことをおっしゃっていました。
「障子を開けたら外に霜が降りてるから、あ、今日寒いんだ、ってあとで気付くくらい、暖かく起きられています」
神石高原の冬は、福山市内とは寒さが違います。
それでも、住まいの設計次第で、寒い朝の感じ方は変わります。
ご主人はこう話してくれました。
「東京にいた頃は、時々海を眺めに行っていたんですけど、今は家でそんな時間が過ごせています。ソファに座って、ただ炎を眺めているだけで、すごく心が癒やされます」
自然の近くで暮らすという言葉は、響きがきれいです。
でも、家づくりとして現実的に考えると、冬の寒さや夏の暑さ、増える車での移動。買い物や病院までの距離、草刈りや庭の管理、通信環境、外構や造成の費用、子どもの学校や送迎といった現実的なテーマも出てきます。
景色が良いことと、日々がスムーズに回ることは、別の話です。
だからこそ、土地を見るときには眺めだけでなく、その場所で毎日が無理なく続けられるかどうかまで、見ておきたいところです。
実家の近くへ戻る。
遠すぎず、近すぎない距離をつくる
広島市内のマンションから、福山市へ戻られたご家族もいらっしゃいます。
こちらは、自然の中へ移るというより、実家との距離を考えたUターンでした。
ご実家の隣にあった祖父母世代の建物を建て替え、新しい住まいを計画されました。ご主人はリモートワークを続けながら、地元での暮らしに戻るという選択でした。
子育て中の毎日は、予定通りに進まないことの連続です。
送り迎え。
急な発熱。
共働きの日々。
少しだけ手を借りたい夕方。
何かあったとき、すぐに行き来できる距離。
そういう現実を考えると、実家の近くに住むことには大きな意味があります。
ただ、近ければ近いほどよいというわけでもありません。
同居ではなく、それぞれの暮らしは保つ。
でも、必要なときには助け合える。
親世帯と子世帯の間に、ほどよい余白をつくる。
その関わり方を、住まいの設計で整えていく家づくりでした。

引き渡しからしばらく経って、アフター訪問でお邪魔したときのことです。
引き渡し当初の慌ただしさが落ち着いて、住まいの中にご家族らしいものが少しずつ増え、その家がその家族のものになっていく時間を感じることがありました。
移住というと、遠くへ行く話のように聞こえがちです。
でも、実際には「近くへ戻る」ことも多くあります。
広島市内から福山へ。
県外から奥様のご実家の近くへ。
東京で働いたあと、地元へ。
退職を機に、夫婦どちらかのゆかりがある場所へ。
住む場所の選び方は、一組ずつ違います。
それでも共通しているのは、住む場所が変わることで、家族との関わり方も変わるということです。
親のこと、仕事のこと、退職後のこと
移住やUターンの理由は、子育てだけではありません。
県外から福山市へ移られた方の中には、奥様のご実家の近くで、将来の介護も見据えながら住まいを考えられた方もいらっしゃいます。
親と同居するのか。
近くに住むのか。
敷地内に離れを建てるのか。
今すぐ介護が必要でなくても、これから先を考えると、住まいの近さは避けて通れない問いになります。
近すぎると互いに気を遣う。
遠すぎると、いざというとき支えにくい。
その間のちょうどよい距離を、土地の選び方や建物のつくり方で整えていくことができます。
親との関わり方を、住まいの形で考えるということでもあります。
退職を機に、住む場所を移されたご夫婦もいらっしゃいます。
仕事の都合を優先してきた時期が終わり、これからの20年・30年をどこで過ごすか考える。
そのときには、平屋や半平屋のように、将来にわたって1階で生活しやすい家の形も自然と候補に上がってきます。
東京で働いたあと地元へ戻り、自宅兼アトリエを整えられたご夫婦もいらっしゃいます。
住まいは帰って寝るだけの場所ではなく、仕事をする場所にもなります。
自宅兼仕事場。
リモートワークのための部屋。
家族の時間と、仕事の時間の切り替え。
来客を迎える場と、日常の生活の場。
働き方が変われば、家に求めるものも変わります。
場所を移すということは、ただ住所を変えることではありません。
親、子ども、仕事、老後との関わり方を、住まいを通してもう一度組み直すことでもあるのだと思います。
実家の土地に建てる前に、確認しておきたいこと
移住やUターンでは、実家の土地や親族の土地、古い家が関わることがよくあります。
土地があるなら、家づくりは進めやすそうに感じるかもしれません。
たしかに、土地を新たに買わずに済むのは大きな利点です。
その分、建物に予算を充てられる場合もあります。
ただ、土地があることと、すぐに家が建てられることは同じではありません。
農地だったり、市街化調整区域だったりすると、建築のために確認や許認可の手続きが必要になることがあります。道路への接し方、上下水道の引き込み、既存建物の解体、造成や外構の費用。土地の名義や、マンションなど今の住まいをどう扱うかが住宅ローンに関わることもあります。
福山市・備後エリアでも、実家の敷地、親族の土地、農地、市街化調整区域、古家付き土地に関するご相談は少なくありません。祖父母世代の建物が残っている土地は、使えそうに見えて、確認してみないと分からないことが意外に多いものです。
「ここに建てたい」という思いがあっても、そもそも建築できる土地かどうか、建物以外にどれだけ費用がかかるかは、早めに確認しておきたいところです。
土地があるから簡単、ではなく、土地があるからこそ最初に押さえておくことがある。
移住やUターンからの家づくりは、このあたりで計画の見え方が大きく変わってきます。
福山市で農地や市街化調整区域に家を建てられるかどうかについては、こちらの記事でも詳しくまとめています。
[福山市で農地に家を建てるには?→]
建て替えるか、リノベーションするか
移住やUターンでは、今ある建物をどうするかも大きな分かれ道になります。
実家の家。
祖父母の家。
親族の土地に残る古家。
仕事場として使えそうな建物。
敷地内の離れ。
そのまま手を入れて住むのか。
大きくリノベーションするのか。
建て替えるのか。
離れを新たに建てるのか。
最初から答えが出ていることは、あまりありません。
見た目はまだ使えそうでも、断熱・耐震・雨漏り・配管・段差・寒さ暑さといった問題が積み重なっていることもあります。
逆に、古い建物の良さを活かしながら今の生活に合わせて整える方が、その家らしさを残せる場合もあります。

建て替えがよいのか、大型リノベーションがよいのか、一部を直しながら使う方がよいのか。建物だけを見ていても、なかなか答えは出ません。
土地の条件、予算、家族構成、将来の生活、仕事の仕方。
それらを重ね合わせることで、ようやく進むべき方向が見えてきます。
移住やUターンでは、「どこに住むか」だけでなく、「そこにあるものをどう活かすか」も、避けて通れないテーマになります。
建て替えるか、大きく直して住むかを考えるときは、こちらの記事も参考になります。
[リノベーションか、建替えか?その前に考えたいこと→]
景色だけでは、暮らしは決めきれない
移住や郊外での家づくりでは、景色や土地の広さに惹かれることがあります。
窓から山が見える。
庭が広い。
周囲が静か。
土地価格を抑えられる。
子どもが外で遊べそう。
どれも、確かな魅力です。
ただ、暮らしは景色だけでは続きません。
冬の寒さ。
夏の暑さ。
車での移動距離。
買い物や病院までの道のり。
草刈りや庭の管理。
子どもの学校や送迎。
親との行き来。
仕事部屋や通信環境。
外構や造成の費用。
地域との関わり方。
こうしたことは、住み始めた後、毎日のように響いてきます。
朝、誰がどこへ向かうのか。
子どもはどう通うのか。
親の家までどれくらいかかるのか。
仕事はどこでするのか。
10年後、20年後も、同じ場所で無理なく暮らせそうか。
景色の良さと、生活のしやすさは、同じではありません。
どちらかを諦めるという話ではなく、両方の視点を持ちながら住まいを考えていけると、後になって無理が出にくくなります。
移住相談、というほど大げさでなくても
福山・備後への移住やUターンを考えていても、最初から話がまとまっている方ばかりではありません。
土地が決まっていない。
実家の土地を使えるかどうか分からない。
建て替えかリノベーションか迷っている。
今の住まいを売るのか残すのかも決まっていない。
移った先での生活が、まだぼんやりとしている。
その段階で住宅会社に相談してもいいのか、と迷われるかもしれません。
でも、むしろその段階だからこそ、見えてくることがあります。
親との関わり方、子育て、仕事、土地、建物、予算。
これらを分けて考えすぎると、かえって家づくり全体が見えにくくなってしまいます。
どの場所で暮らすのか。
今ある土地や建物を使うのか。
新しく建てるのか、手を入れて住むのか。
その後の生活に無理が出ないか。
そうしたことを一つずつ見ていくことで、家づくりの方向が少しずつ定まってきます。

福山市新市町のMORI SPACEでは、築20年を超えた木の家を実際に見ながら、土地のこと、建て替えやリノベーションのこと、これからの住まい方についてご相談いただけます。杉の床の足ざわり、木の香り、時間をかけて変わってきた素材の表情。写真では伝わりにくい空気感を、実際に体感しながら話せる場所です。
「移住相談」というほど大げさなものでなくてもかまいません。
これから、どこで、どんな家で暮らすか。
まずは、そんなお話から始められたらと思います。
見学の前に少し聞いてみたい方は、公式LINEからもご質問いただけます。
実家の土地のこと。
古い家を直すか、建て替えるか。
福山・備後での家づくりの進め方。
まだ話がまとまっていない段階でも、ご相談いただけます。

執筆者 /
代表 千葉大輔
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